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2011年10月の杏子

   
 シーラ & ムンニー



8月から9月にかけて、インド大使館、日印サミットと続けて、ボリウッドダンスショーを作らせていただいた。
もちろん、日常的にボリウッドダンスに関わってはいるのだが、この2本に関しては、気合が入った。
何故なら、大使館でのショーは、8月任期を終えて帰国なさる第一秘書トリパティー女史(私の直属の上司)からの、たってのリクエストであったからだ。彼女は、女性的な心優しい側面と、男性的な決断実行の側面をバランスよく備えた、憧れのアンドロジーニだった。恩恵深く、更にリスペクトして止まない彼女の願いとあれば!Yes BossのSRKの如く「大使夫妻も、各国大使も見えます。是非、良いステージを」という多大なるプレッシャーに耐えながら、とりあえず、ベストを尽くしてみた。


当日は、大使館オーディトリアム始まって以来の集客で、1、2階とも立ち見が出、客席は大いに沸いた。前世、宮廷お抱え芸人だったらしい自分としては、この成功は嬉しかった。
トリパティー女史も、力を尽くしてたくさんのVIPを招いてくださり、最後には、お礼にジャドゥ キ ジャッピをしてくださり、感涙・・・
サミットでのショーに対しても思い入れがあった。
今回の大震災で、親しかった在日インドの方々が次々と日本を離れ、毎月のように「さようなら」を言ってはラスト・ハグを繰り返している自分として、「日本を忘れないで!」という熱いメッセージをインド側に伝えたかった。

出演するダンサー達と、「愛国心とは何か?」とか「インド人にとってのボリウッドソングの意義」などディスカッションしたりして、想いを充分表現できるよう努めた。結果、こちらも盛況だった。
が、こちら側の気合や努力は別にしても、MCがタイトルを告げただけで、大盛り上がりになる曲があった。
「シーラ キ ジャワニ」「ムンニ バドナーム フイ」だ。
 実は、震災前、新大使が桜の宴を催すので、ボリウッドショーを大使館屋上で披露しましょう!計画が進んでいた。大使、公使、トリパティー女史と共に、演目を決めている時、「今、最もホットなムンニバドナームはいかがでしょう?」と提案させていただいた。が、一瞬にして「野火さん、シーラ&ムンニは勘弁して」と一笑に伏されてしまった。「で、ですよねぇ〜」と一緒に笑いながら、「こういうのはダメなんだ・・・」と学習したのであったが、やはり、これを外して、今のボリウッドは語れない!と意を決して、両プログラムに入れてみた。

「シーラ キ ジャワニ」は、昨年2010年に公開されたボリウッド映画「ティース マール カーン」の挿入曲である。ファラ・カーンの演出で、公開前の期待は非常に大きかったようだ。
何故なら、彼女は既にトップを疾走するボリウッドの振付家であったが、2004年の「メ フン ナ」と2007年の「オーム シャンティー オーム」を、映画監督として大ヒットさせていたからだ。初監督「メ フン ナ」では、新人監督賞を受賞している。
しかし、3本目のこの映画は、その大きな期待に応えることはできなかった。
前2作品が、シャー・ルク・カーン主演で、今回のがアクシェ・クマールだったから・・・? ということは、その理由でないと思いたいが、作品自体に魅力が乏しく、アッキーのチャームは空振りに終わった。
が、そうした中にあっても、振付家としての彼女は健在で、挿入曲「シーラ キ ジャワニ」は、Zee Cine Awardsの最優秀振り付け賞を受賞する。
そして、この歌は、セクシーでキュートなダンスと共に、インド全土を凌駕するだけでなく、世界に伝播していった。

このダンスは、酒場のシーンで、ヒロインを演じるカトリーナ・カイフがスリムな肢体を震わせながら、”私は、高値の花。皆が望むのわかるけど、残念ながら、手が届かない・・・”とかのたまい、彼女に群がる客や、彼女を捕らえに来たヒーロー(アクシェ)を鼻でせせら笑うわ、上から目線で馬鹿にするわ、カッパカッパと弾き飛ばし、まあ、女に生まれたら一度は、あんなこと言ったりやったりしてみたい!!と思えることを、全部やってしまう。

振り付け的には、冒頭でカトリーナが丸いベッドに横たわり悩ましく登場するところから、屈強な男たちがハアハアゼイゼイ、エキサイトしている真ん中で、彼女が胸を押さえながら上体をくねらせる動きを見せる辺りまでが、かなりのインパクトで、見る者の心をしっかりと捉える。
「ん、このソングにはリキ入れてるな・・・」と、映画館ならトイレには行かず、ビデオならフォワードせず、と理解。
続いての大事なサビでは、セクシーな衣装のカトリーナが両足を開きすっくと立ち、小刻みに体を震わせながら(このシェイキングを入れるのが、踊る側には難しい・・・)両手を大きくクラッピングさせノケゾリ運動をリピートする。流石、振り付けクィーン!! 見て楽しく、やって尚、楽しい究極のサビダンス。
そして、エンディング。馬鹿な男たちが、マグカップを振りかざしながら、「シーラ、シーラ」と連呼するのを、クネリクネリと体を回転させながら、ヒロインは煽り続ける・・・という退廃的な美しい絵柄。
この完璧なダンスの流れが、人々を魅了して止まないのだろう。
しかし、言ってしまえば、「じらす女と、じらされる男」という最悪の男女関係が、エンドレスに繰り返される予感の歌であり、踊りである。 注;因みに「シーラ」とは女性の名前である。
曲の半ばで、「シリー、シリー、シリーボーイ」と女が歌う部分があるが、確かに男も馬鹿だが、自分の美貌だけで舞い上がり、これほどまでに高慢チキチキになってしまう、こいつの方が余程の馬鹿女だ、年取ったらどうするんだ?! と思った瞬間、「ああ、それでシーラ キ ジャワニなのか」と気づかされる。

もうひとつの「ムンニー バドナーム フイ」は、同じく2010年公開「ダバングゥ」の挿入曲。振り付けは、同じくファラ・カーン(ファラには敵わない! 誰が? お前が敵う訳ねーだろう!)。
この「ダバングゥ」は、これまでの興行成績の記録を次々と塗り替える大大大ヒットとなった。
その原因は様々考えられるが、ヒロインとなったソナクシ・シンハは女優として、アルバーズ・カーン(ヒーローのサルマン・カーンの弟)はプロデューサーとして、またアビナヴ・カシャップも監督としてのデビューとなった作品で、そのエネルギーの結集が、ただならぬパワーを生んだのかもしれない。公開は昨年のイード(モスリムの断食明けの祭り)で、彼らのパワーは神にも届いたのであろう。


「ティース マール カーン」と異なり、映画自体もヒットしたのが、この「ダバングゥ」だが、その挿入曲「ムンニー バドナーム」が、映画ヒットを牽引したことも間違えない事実であろう。
踊ったのは、アイテム・ガールとなったマライカ・アローラ・カーン、アルバーズの妻であり、サルゥーの義妹である。彼女を見て、たまげた!!人も、少なくないだろう。マライカと言えば、あれですよ、あれ、チャイヤ、チャイヤですよ。日本でも公開されたSRKの「ディル セ」の中のヒットナンバー「チャイヤ チャイヤ」で、奇想天外、疾走する列車の上で、異国情緒漂う(どこから考えての異国?)謎のアイテム・ガールが美しく舞っていたのを覚えていませんか?!あれが12年も前のマライカ!!夫があれだけ老けたにも関わらず、マライカの時間は止まっていたのか? あるいは、冷凍保存でもされていたのか? まあ、なんてフレッシュ&セクシー&キュートなんでしょう!!(話は戻りますが、チャイヤの振り付けも、ファラです。あれで彼女は、振付家としてトップに踊り出たのでした。あの時から、単に振り付けだけではなく、踊るシチュエーションなど演出家としての才能も見せていたのですね)"ムンニーは、あんたのせいで評判が堕ちた。金もないだらしない馬鹿な男に付きまとわれて、評判が堕ちた・・・”といった歌詞だが、酒場で踊るマライカは、自らの色香を金に換えるクールな娼婦の表情である。バーム(軟膏)をヒップに塗りつけるセクシーな動きにも、さっぱりした乾いた風を感じさせる。
ここでは、”あんたのせいで評判が堕ちた”と言われた方の男は、”俺のせいで、評判が堕ちた!” と、むしろ嬉しそうのニヤけている。堕とした男と堕とされた女が、救いようなくじゃれ合っているのである。

この2曲は、女性の名を連呼するカタルシスと、決して本気ではない、ばかばかしいセクシーさのサビダンスを楽しむカタルシスが共存するところに共通点があるだけでなく、方や「焦らす女と焦らされる男」、方や「堕とされる女と堕とす男」と言うドツボの男女関係を、クールに突き放して楽しむという点でも共通している。

様々な社会問題を抱えながら、大国インドは、間違えなく世界の未来を担う存在となりつつある。
その萌芽期に、こうした能天気なソング&ダンスは、人々に何を示唆し、何を警告し、何を鼓舞しているのだろう。

  「先日、IBCの御依頼で書かせていただいた下原稿です」


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■著者:野火杏子
■仕様:A4判/64ページ/DVD(約70分収録)
■価格:1,575円(本体1,500円+税)
■発売日:2008.07.30
出版社: リットーミュージック

   
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